ベルギーはゲントとブリュッセル出身、2007年にギタリストでシンガー・ソングライターのKristof Deneijsを中心に、Karen Willems(ドラムス)、Tom Van der Hulst(ベース)、Lotte Depuydt(サウンド)の20代半ばの男女4名で結成されたYuko。バンド名の由来といえば、たまたまインターネットで見つけた日本人の女の子の名前を付けられたそうだ。メンバーのうち、映画音楽の分野で既にキャリアのあったKristof Deneijsのドリーミーなソングライティングとポストロック・バンドにしては表現力の豊かなヴォーカル、女子ドラマーとしては希有な演奏能力を誇る Karen Willemsのドラムスを中心としたユニークな編成が話題を呼び、高い評価を得たという。
Yuko は2008年にデビュー・アルバム『For Times When Ears Are Sore』をまず地元のDebonair Recordingsからリリースしている。このアルバムは、同郷のFennesz × The Album Leafとでも言うべきユニークなサウンドを誇る、WixelのWim Maesschalkのプロデュースの下、制作されたそうだ。また、アートワークは、ロンドンを拠点とし、Beckの作品も手がけるDavid Foldvariよってデザインされたというのだから、パッケージとしてコレクションに加えたい一枚だ。そして今作のタイトルを解すると「その両耳が痛むときに聴いてほしい音楽」というニュアンスになると思われるが、このアルバムはまさに生の楽器とエレクトロが融合し、ナイーヴかつ優しいヴォーカルと絡みあい紡ぎだされる音楽。ノスタルジックで、思い出のつまったアルバムやおもちゃ箱を10何年ぶりに開いたかのような感覚さえも感じさせる。アーケイド・ファイア、シガー・ロス、ムーム、グリズリー・ベアなど好む人にも絶対に聴いて欲しい音だ。
ライブの評判も高く、これまでにデンマークやオランダのフェスティヴァルへの出演に加えてM83、Ladytron、Jason Lytle(Grandaddy)のサポートも勤めている。ベルギーのバンド、Tomanに続いてベルギーのポストロック・シーンを引っ張っていくであろう、期待の新鋭バンドであること必須。彼らを今、絶対に見逃せない。彼らが日本にやってくる日を心待ちにするばかりだ。 .
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