musique concrète #3 | ja

ミュジーク・コンクレートまたはミュージック・コンクレート (musique concrète)は、1940年代の後半にフランスでピエール・シェフェールによって作られた現代音楽のひとつのジャンルであり、音響・録音技術を使った電子音楽の一種。具体音楽とも訳される。人や動物の声、鉄道や都市などから発せられる騒音、自然界から発せられる音、楽音、電子音、楽曲などを録音、加工し、再構成を経て創作される。

ミュジーク・コンクレートでは、マスタリングを終えた録音物そのもの、またはスピーカーの配置、音響空間などを含めたコンサート (アクースマティック・ミュージック) が作品となる。作曲者が制作工程で必要とした楽譜、備忘録やアイデアの下書きとしてのグラフはあくまで素材、スケッチとされ、それ自体は作品とは見なさない。最初期においてはレコード盤が加工、マスタリングメディアとして用いられたが、テープレコーダーの発達により、50年代の前半には、テープを用いた制作が主流となった。 ドイツで発達した発振器による電子音楽とミュジーク・コンクレートは当初異なる美学を持つ音楽とされたが、シュトックハウゼンの「少年の歌」以降、双方の境は曖昧になっていき、現在では、楽音、騒音、電子音を含めた全ての音が素材の対象となった。

シンセサイザー、ハードウェアシーケンサーの登場と共に電子音、録音音源の加工、サンプリングの技術は簡易化の一途を辿り、それと共にプログレッシブ・ロック、テクノポップなど、電子音楽やミュジーク・コンクレートの技術を応用した様々なポピュラー音楽のジャンルが生まれた。 現在では、現在のそうした他の音楽ジャンルと同様、録音の工程以降は、パーソナルコンピュータとソフトウェアシーケンサーなどの音楽編集アプリケーションソフトウェアを用いた制作がミュージック・コンクレートの主な制作手法となっている。

フランスにおいては、シェフェール、アンリ、フランソワ・ベイル、リュック・フェラーリ、ベルナール・パルメジャーニなどの手によって、音楽を形成する上でのエクリチュール、ソルフェージュの体系が徐々に整えられていった。現在では、舞台、音響空間を重視したアクースマティック・アートを提唱するドゥニ・デュフールや、エレクトロニカやテクノとの相互影響を厭わないクリスチャン・ザネジ、ライブ・エレクトロニクスのサポート・オーディオとしてミュージックコンクレートを扱うヤン・マレシュなど、様々な動向が見られる。
.